理究の哲学(エンジン)

第二章 自分ノ学

第四項 選択と意思決定

直感は、スピードがある分だけ精度に欠ける。
直感は、抑制したり修正したりするのがむずかしい情緒的なもの。
だから、大まかだし、ときにはひどく外れることさえある。
直感的思考はしっかりとした推理というフィルターを使わずに、無意識のうちに私たちを先導する。
というより、スピードの秘密は、ほかならぬ無意識にある。
脳の深いところにある扁桃体は、たとえば、ある人の顔に表れた恐怖のサインを、30ミリ秒という速さで捉える。

― 『世界は感情で動く』マッテオ・モッテオリーニ ―


「今日の昼飯何にしようかなぁ?パスタもいいか」なんて出かけても、行列しているラーメン屋の前で「旨そうだな、チョイと覗いてみようかな」と、つい10分前の思いつきを変えたりした経験ありませんか?
日常生活では、”気が変わる””勘違いしていた”ことは頻繁に起こります。

自分で判断して意思決定したことを簡単に覆すことは、誰にでもあることです。
日常生活のこまごま(善悪や損得なしの、どちらかというとどうでもよい)したルーティンは、システム1=直感・感情=Fast思考が幅を利かせます。
冒頭で紹介したモッテオリーニが述べているように、無意識です。自己選択し、意思決定しているのは自分であるはずなのに、実は周囲の影響を大きく受けていることがあります。

昔、中学生だった頃の息子が言っていました。
「参ったぜ、参った。この間、ユニクロで買ったダウンジャケットが、カッコ悪い先輩と被った。俺、もう二度と着たくねぇ」
もしかしたら、リスペクトする先輩と同じものなら違う反応だったかもしれません。
自分の小遣いで、自分の判断で買ったダウンジャケットなのに、です。
流行の洋服、ジャージ、髪型、バッグ、携帯・・・・
他人と同じものを嫌がり、できるだけ違うものを選択する、逆に、他人と違うことを嫌がり、できるだけ同じものを選択したりもします。
”自分 ⇔ 他者”との関係で、不思議な現象です。

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