理究の哲学(エンジン)

プロローグ

2つのシステム

ダニエル・カーネマン博士は、人間は日常的な意思決定を2つのシステムを駆使していると考え、それを
システム1は速い思考(Fast=ファスト)=直感的、感情的と呼び、
システム2は遅い思考(Slow=スロー)=論理的、理知的と呼びました。

1つ1つの意思決定が論理的なようで、実は周りの雰囲気やその時の気分で安易に決めてしまう”脳の錯覚”現象を、著書『ファスト&スロー』の中で実証的に紹介しています。彼の主張の1つに、人間の脳は基本的に”怠け者”で、過去の習慣や直感に依存した判断をするのだ、という考え方はとても斬新でもあり、興味深く、参考になります。

たとえば、最近話題になっている”オレオレ詐欺””年金詐欺”。
「なぜ、簡単に騙されるのだろう?」
「老人になると判断力が鈍るからかな?私は引っかからないよ」
という感想を持つ人が多いでしょう。
しかし、私たちの脳が、システム1=直感や感情で判断しやすい、と考えると油断ならぬモノを感じます。知恵の働く悪人に狙われたら「騙される確率は高くなる」と専門家は忠告しています。あなたも狙われるかもしれません。
私たちは、システム1=ファスト思考(直感的、感情的)に支配されていると考え、システム2=スロー思考(論理的、理知的)思考も、時々使おうくらいの心構えを持つことが必要です。

世の中善人ばかりではありません。健全な自己防衛の術も備えておきたい。
そして、筋の通った考え方、判断するときの基準も持ちたいものです。特に、日本は宗教的なバックボーンが弱い国民で、絶対的な指標もありません。(実は、それだけ自由度が高く、とても住みやすいのではと感じますが・・・・・・)

その時に頼りになる”何か”や、解決のきっかけになる”何か”があると助かります。その1つが哲学です。
物事の”本質”や”問題解決の方法”を知ることができれば、様々な難問の前で立ち尽くすこともなくなります。なにより、”自由”を手に入れる可能性が高くなるでしょう。

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