理究の哲学(エンジン)

第三章 脳と心ノ学

第六項 やる気のヒミツ

― 作業興奮が“やる気”の源泉 ―

多くの人が勘違いしている事があります。
それは、モチベーションは、外からやってくるものではない、という事です。
自分自身の外側から、何かモチベーション=「やる気」という得体の知れないものが降って来てモチベーション=「やる気」が起きるわけじゃない、ということです。
モチベーション=「やる気」の実というのがあって、それを食べるとやる気が湧くってわけではありません。
モチベーションアップの第一歩は、自分自身の行動から生まれるのです。

この項の最初に並べた10個の四字熟語の中の1つ“知覚動行”の見慣れない文字をインプットしましょう。

これは、“チカクドウコウ”という四字熟語ではなく“トモカクウゴコウ”と読んでください。
どんな事でもいいのです。行動をする事によって、人間の脳には、“作業興奮”という状態が生まれることが知られています。これがモチベーション=「やる気」の原動力です。
それを外側に求めてしまうと、いつまでたっても、モチベーションが上がりません。そして、モチベーションを上げるためにあらゆる情報を調べてみても結局の所、行動しない限り、なかなかモチベーションは上がりません。

行動って、とにかく動いてみることです。
これを“知覚動行精神(ともかくこうどうせいしん)”と勝手に呼びます。

無計画に大胆に行動する若者が時々います。
私の後輩に、とにかくアメリカに行きたいということで決起・決行したS君がいます。30年以上前のことです。まだ1ドルが240円ぐらいだったでしょうか。彼は貧乏学生だったので、所持金はスズメの涙ほど。しかも英語もろくにできないまま、憧れのアメリカに渡りました。
宿泊先も決めないままに渡米して(米当局に渡航目的など疑念を持たれた)、空港で数時間足止めを食らったという本当に馬鹿ですが、忘れがたいナイスガイです。意欲の塊です。

幕末の吉田寅次郎(吉田松陰)もそうです。
無謀な行動するのが青年の特徴です。自分を突き動かすエネルギーに溢れかえっています。やる気満々、だから動くのです。いや、動くからやる気満々になるのだというのは、脳科学者の池谷裕二氏の説です。

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