理究の哲学(エンジン)

第六章 保育・幼児教育の考察②③

第一項 幼児の能力分析 編

5【社会性の能力 2】(2012.08.20 掲載)

「子育て方程式」なる育児書を著したことが事ある。当然ながら、中学生で習う方程式を意味しない。
子育てには、“解”が2つ、3つ。時には“解なし”さえある。だから、子育ては大変である。よって、育児に絶対的な“何か”や、“即席的なマニュアル”を求める気持ちはわかる。が、盲従的にならぬよう気を付けたい。よって、このコラムも人によって当てはまらない事がある。悪しからず。
さて、前回に続き、社会性の能力について触れよう。
日本の幼稚園・保育園では、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域で教育が考えられている。小・中学校では「人間関係」という科目はない。つまり、幼児教育は、人間関係の教育という視点で見れば手厚く、優れていると言える。圧倒的に女性の先生が多いのもプラスに働く事が多い。幼児教育は、学校に上がる準備教育としての役割を負っている。なぜならば、学校では、クラスとして勉強し、クラスとして行動していく。よって、その善悪は別として、集団行動できることが、至上命令となる。多くの親はその事を知っているが、中には、小学入学直前なってから慌てる親もいる。
過保護状態から急に「自分のことは自分ですること!」だの、「もっと早く!キチンとしなさい!」だの、「そんなことでは小学校でのけ者になる」だの、脅し文句で調教し始める。子供にとっては、たまらない。期待や希望などわくわく感こそが、成長のエネルギー。場当たりの躾で、苦行をさせてはならない。親の緊張感は子に伝わる。
では、どうするのか。“備えあれば憂いなし”余裕をもって、基本的生活習慣をつけさせること。これが、社会性能力を養う前提条件となる。ただ、集団行動ができるといっても、“金魚の糞”状態では、心もとない。やはり、仲間と協力できる。責任を持って役割を果たす。自分の意見をはっきり伝える。大勢の前でも物怖じしない(人前力と呼んでいる)。そんな能力を少しでもつけさせたい。人前力は、経験で能力を伸ばすことができる。前回のコラムでも触れた「声を出す」ことが基本。近所や親戚との連絡は子供にやらせたい。リハーサルをしてやれば、安心して行動できる。家庭の中での役割を与えて「自己肯定感」(自分はやればできるという感覚)を持たせたい。この夏、「よく頑張ったね」「○○ができるようになったね」「おかあさん、○○ちゃんがいたから、助かったよ。ありがとう」そんな事を言われる経験をさせたい。

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