理究の哲学(エンジン)

第六章 保育・幼児教育の考察②③

第一項 幼児の能力分析 編

8【身体能力の発達】(2013.04.22 掲載)

NHKの「おかあさんといっしょ」という超人気番組(対象2歳―4歳)がある。54年も続いているというから驚く。この4月から「おとうさんといっしょ」が登場した。毎週日曜日の週1回だ。イクメン(育児・家事パパ)が話題になっているが、実は、子供と遊ぶことが不得意な父親も多い。そんなパパにとっては救いの応援番組となるだろう。
このコラムでは、幼児期の能力の発達を①言語能力の発達②身体能力の発達(手先の器用さ、運動能力)③社会性の発達(人間関係能力、ルールの遵守)④問題解決能力の発達(狭義の知的能力)⑤精神力の発達(自制心、我慢する力、やり抜く力)⑥知的好奇心の発達、と便宜上6つに分類して考えている。幼児の能力は未分化しており、相互に関係し合い、また重なり合ってもいる。発達の速度も個人差が激しい。
今回は、②身体能力の発達について触れたい。
身体能力=運動能力=体力と考えてもいい。体力には、走る、跳ぶなどの“行動体力”とケガや病気になりずらい“健康体力”に、大きく2つに分類できる。
健康体力は、多くの家庭で気を付けている筈だ。栄養のバランスや衛生管理も昔とは随分違う。鼻を垂らしている子どもは見かけない。
行動体力は、身体を動かすこと(遊ぶ、運動する)で強化される。身体能力の発達で、大きな変わり目は、何といっても“二足歩行”からだ。自分の足で立ち、自らの意思で歩くことができる。その時の乳幼児の表情は、嬉々としていて、弾んでいる。周りで見ている、両親や祖父母たちは、転ばないかどうか、ヒヤヒヤしながら、ヨチヨチ歩きを守りながら、一緒に感動を味わう。その時に「キチンと歩け」だの、「もっと速く」だのとは決して言わない。ここに、子育て方法の大原則、「励ます、待つ、喜ぶ、我慢する」がある。
さて、幼児の運動能力を伸ばすコツは、単純明快だ。
「動く遊びを楽しませる」こと。幼児期に伸ばす運動能力要素は、神経系=身のこなし能力だ。非日常的な動き―よじ登る、ぶら下がる、逆立ちになる、―遊びの中でやる動きだ。“運動神経”の基礎が作られる。
世間一般では、運動が、身体の健康のためと考えられているが、脳科学者の中には「運動の第一の目的は、脳を育てて、良い状態に保ちことにある」と断言する人もいる。運動神経の良い人は、概して頭も良い。

固定ページ:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96

97

98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130