神奈川新聞 連載コラム

10回 ステップアップ!(幼児教育編)社会性の能力とは?

  • 2012.7.30

ステップアップ!!〈幼児編〉

Q. 社会性の能力とは?
A.「自分中心」からの脱皮が大事

今回は「社会性の能力」について触れよう。「社会性の能力」は、しばしばコミュニケーション能力や対人関係能力などと同義語的に扱われる。今どきの“就活”では、「コミュニケーション能力」がキーワードになっているようだ。
SF小説家の小松左京氏の作品に「復活の日」がある。「南極という厳しい環境の中で生きるには、知性と技能に加え、驚くべき粘り、耐久力、危機に対する闘争心、体力、適応性が求められる」のくだりがある。うん、確かにそうだろう。さらに続く表現が社会性能力の核を突いている。「おたがいに“うまくやっていく”能力」が重要と記している。うん、合点がいく。家庭教育の少しの工夫でわが子の社会性能力を高めよう。
考え方として、コミュニケーション能力を単なることばのやりとり、と考えるのは狭すぎる。人間と人間がつながるのはことばだけではない。
ことばを理解し、話せるようになることは大事だが、それ以上に、相手の表情やしぐさの中に感情をキャッチし、自分の感情を相手に伝えることは“うまくやっていく”能力の芽をつくる。
まず、アイコンタクトを意識的にするとよい。わが子の乳幼児のころを思いだそう。子どもの自立とともに、母親の視線が、擁護者から監視者のモードに変わる人が多い。愛情たっぷりのアイコンタクトを1回3秒、1日3回から5回程度意識してみることだ。
第二に、親が人と接する機会を見せること。その表現の仕方をわが子は学習していく。
たとえば、近所づきあいは「あいさつ」からだ。会釈はできるが声が出ない人が多い。声が出る、出ないは“月とすっぽん”だ。家庭で声を出す習慣をつくるといい。声を出すと積極性が育まれる。初めはギコチなくても慣れる。表情も柔らかくなる。
第三に、親しい仲間(相互の家に子どもがお泊まりできるような関係)づくり。他人の家を経験させることは「違い」を認識させる上で最高の機会になる。「○○ちゃんちのカレーに、キノコが入っていたよ」なんて経験ができる。
相互に“うまくやっていく”能力とは、人が持っている「自分中心」からの脱皮。人間的なつながりを持つためには自立していることが前提だ。小学生になったら合宿を経験できるようなレベルにさせたい。

(どんちゃか・理英会代表 米田 正人)