神奈川新聞 連載コラム

35回 ザ・チャレンジ!(幼児教育編)日々の保育に「仕掛け」と「やりがい」

  • 2015.1.16

ザ・チャレンジ!〈幼児教育編〉

 保育士不足が、ここ数年続いている。保育士が確保できず開園を見送る例もあると聞く。私たちの園でも、確保・定着のためさまざまな工夫をしている。まずは待遇や勤務条件を整える“ハード面”の改善。次に、保育士自身が成長できる職場環境をつくる“ソフト面”の進化、言い換えれば「やりがい」を感じてもらうための働き掛けだ。
 幼児教育で重要とされる5領域(健康/人間関係/環境/言葉/表現)の中で、「表現」をテーマにした取り組みから紹介する。

《3年目の「さあ先生」の場合》
彼女の特技はダンスだ。本場ニューヨークへのダンス留学を真剣に考えた時期もある。そのため保育テーマから「ダンスによる表現」を指示された。ただ踊ればいいわけではない。決められた振り付け通りに楽しく身体を動かす通常の「ダンス指導」を、どうすれば「自己表現」にまで発展させられるか。「ふとしたときに自由に取らせるちょっとしたポーズ、そこにその子の個性がきらりと光るんですよね」。楽しそうに笑う。

《中堅の「かおり先生」の場合》
こちらの実践は「描く(書く)」こと。原点は、小1の時に自身が体験した習字の筆との衝撃的な出会い。その感動を伝えたいと、さまざまな場を設ける。スイカの絵に、毛筆で模様や種の点々を加えたり。クレヨンでも鉛筆でもなく、毛筆だからこそ出てくる一人一人の“味”が面白い。「わたしがホワイトボードに絵や字を描く(書く)手元を見つめ真剣な園児たちのまなざし」、そこにヒントがあるのだという。

 共通するのは、日々の保育の中で子どもたちに仕掛けるちょっとしたチャレンジ。朝の体操での一声、画用紙を半紙に替えてみる、すると思いがけない反応が返ってくる。そこに面白さを知った保育士は日々の保育にやりがいを感じる、と信じている。

(バレット保育園たまプラーザ園 施設長・藤岡 恵美)