神奈川新聞 連載コラム

39回 ザ・チャレンジ!(幼児教育編)入試で大切にしていることは?

  • 2015.8.3

ザ・チャレンジ!〈小学校受験編〉

Q. 入試で大切にしていることは?
A. 相手の話をきちんと聴く姿勢

 校長先生との約束時間は午後1時半。訪問当日、少し早めに到着するとあちこちで掃除をしている児童たちが見えた。ある子は長ほうきを持ち、別の子は力をこめて雑巾がけ。海の近くにあるこの私立小学校(女子校)は、校訓に「従順・勤勉・愛徳」を掲げる県内屈指の伝統校の一つだ。
 ここの入試の特徴的なものは「指示行動」だろう。子どもたちはグループに分かれ、“行動”の指示を受ける。「白いカードを渡されたら…」「先生とジャンケンをして、勝ったら赤いコーンのところへ、負けたら青いコーンへ、あいこだったら…」。指示通りに正確に動き、たとえ前の子が指示と違った動きをしても、それにつられず自分の思った通りに行動することも求められる。
 さらにこの後、「ドンジャンケン」(細い道を両側から進み、ぶつかったところでジャンケンをして勝ったら進み、負けたら道を譲る)というプログラムが突然挟み込まれる。緊張していた5〜6歳の「受験生」たちは、この“遊び”の楽しさに夢中になり、自由時間のように思わずリラックスする。と、その時、突然名前を呼ばれ、「先生の後ろをついてきてください」と部屋を出て階段の踊り場まで誘導される。そこでちょっとした“お使い”を頼まれる。「先生は喉が渇きました」「先生は○○をしたいと考えています」…。相手の言葉から何が必要かを考え、一つ下の階に取りに行く。その様子が観察される。
 この学校の考査には、「相手の話をしっかりと聴く」→「理解し、考える」→「行動する」がどこまでも貫かれている。

 以前も「入試問題は学校からのラブレター」と書いた。今回の取材で校長先生は「学校生活は、基本的に集団生活ですから、教師は『どうしてそうなのか』『何をするのか』などの説明をします。正しく理解し、活動するためには、聴こうという姿勢が大切です。『学び』は、人の話を聴くことから始まります。しっかり聴くことは相手に関心を向けることで、コミュニケーションの第一歩でもあると思います」と語った。うちの教室でもこの学校を志望する家庭の父母に「聴く力」を持つ人が多いのは偶然だろうか、とふと思った。

(どんちゃか理英会横浜校・大船校 教室長 中村 ルミ子)