ステップアップ!!〈幼児編〉
Q.「マシュマロテスト」の神髄は?
A. 十数年後に明確な相違
幼少期の「脳の急激な発達」の科学的根拠を前回までに触れた。
幼児期の能力を便宜的に①言語能力②身体能力③社会性(対人関係)④問題解決能力、⑤精神力⑥知的好奇心-の六つに分類して考えてみたい。
幼児の能力は未分化の状態にあり、この六つは完全に独立したものではない。また相互に関係し合い、重なり合ってもいる。発達の速度にも個人差がある。
今回は「精神力の発達」について触れよう。幼児期に精神力?、と違和感を持つ人もいるかもしれない。集中力、気力、粘り、自制心、我慢力、欲求不満耐性などの総体としての「精神力」だ。幼児の段階から育みたい能力の一つだ。それに関係した興味深い実験「マシュマロテスト」を紹介しよう。
対象者(被験者)は、幼稚園の4歳児。子どもは、机と椅子だけの部屋に通される。机の上には皿があり、マシュマロが1個乗っている。実験者は「私はちょっと用事で出掛ける。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで食べるのを我慢したなら、マシュマロをもう一つあげる。でも帰ってくるまで待てなかったら、ここにあるマシュマロを一つだけ食べていいよ」と言って子どもを部屋に残す。子どもの行動は隠しカメラで記録され分析された。
結局、我慢できずマシュマロを1個食べた子は全体の約70%。30%の子どもは我慢して、2個マシュマロを食べた。「マシュマロテスト」の神髄は、十数年後の追跡調査の結果にある。
「我慢してマシュマロを2個もらえた子ども群」と「我慢できずにマシュマロを1個食べた子ども群」との比較だ。大学進学適性試験(SAT)の成績で明らかに相違がでた。
つまり我慢する力=自制心(この場合は、マシュマロを食べるのを先延ばしにできる力)の強い子は、学業において優秀な評価を得た。
長年、将来の成功を予測する最も重要な指標は、IQ=「知性」思われてきた。この研究では、「自制心」=精神力の方が重要であると指摘している。
「そうか、よし、我慢をさせればいいのね」と、早合点は禁物。幼少期での過剰なストレスは、別な能力の発達を阻害する。子育てにも「我慢力」と「我慢力を継続させる戦略的思考」が必要だ。
たとえば、「お母さんが夕食の支度をするから、おもちゃを片付けておいてね」というように子どもができることを見極めながら、少しずつ欲求不満耐性=我慢力を形成させるワザを持つこと。
子ども中心の“甘い親”は、子どもが本来持っている能力をむしばんでいることになる。
(どんちゃか・理英会代表 米田 正人)

