神奈川新聞 連載コラム

6回 ステップアップ!(幼児教育編)3月~4月の過ごし方は?

  • 2012.3.5

6【パパの出番―イベント企画は家族参加で】
神奈川新聞2012年3月5日 朝刊掲載

伊勢の赤福本店では、日本の季節感に合せた「朔日餅(ついたちもち)」を、毎月に出している。
お金では買えない「気持ち」を込めているらしい。
三月の朔日餅は、「よもぎ餅」。
香り高く繁殖力の強いよもぎは「魔除草」と呼ばれ子孫繁栄・無病息災を祈るという。
ちなみに四月は「さくら餅」。

さて、三月から四月は、卒園や入園・入学式など別れと出会いの季節。
子供会や幼稚園・保育園のイベント、親戚との交流など非日常の集まりが多くなる。
交流の場は、人間関係術を鍛えるためにも大いに活用させたい。
が、少し消極的な子には、「与えられるイベント」だけでなく、「主催するイベント」も薦めたい。

「大好きなお友達の○○ちゃんを招待しよう!」に我が子は眼を輝かすに違いない。
普段忙しい家庭は、交流させたくてもなかなか時間が許さない。
我が子の社会性の成長を促す機会を創出してはどうだろうか。その留意点を述べたい。

第1に、企画の心構え。
「我が子と、我が子の友達にチョッピリ時間と空間と仲間を与えよう」くらいに気楽に考えること。
それと同時に、ママ一人で頑張る事はやめたほうがいい。
家族が一致団結して準備するからこそ意義がある。

第2に、友達だけでなく、その兄弟姉妹を招待すると人間関係がより一層深まる。

子どもは、基本的に子どもが大好き。
兄弟が少ない今日、異年齢の子供たちが遊ぶ機会が薄れている。
赤ちゃんがいたら最高だ。
友達の両親も巻き込んで交流すれば、相互にメリットを感じるはずだ。
腰の重い人は、20年後の投資だと思えばいい。

第3にお金をできるだけ使わず工夫すること。
たとえば、食材を持ち寄って、簡単な食事づくりをする。
ケーキやおやつづくりもいい。

是非子ども参加型にしたい。
大人が全部用意してあげるのは、せっかくの学ぶ機会を奪うことになる。
主体的に参加するから交流も深まる。
皆でできるトランプやブロック遊びをする。
折り紙や絵本やカルタなどを少し用意しておくのもいい。

出費が多い企画は、家計を圧迫するし、友達の家庭にも心の負担をかける。
金銭感覚は十人十色なので注意が必要。
お金をかけずに楽しく交流しよう、という「きもち」と「アイデア」が必要だ。

天気が良かったら、パパの出番だ。
縄跳びやサッカーボールで汗かくまで身体を動かす。
パパと息子だけの関係と、友達が加わった関係は、また別物だ。
社会性も一つの能力。
自然に身につくものではない。
幼少期の段階でしかできない親の関わりがある。

(「どんちゃか」「理英会」代表・米田 正人)