神奈川新聞 連載コラム

73回 ザ・チャレンジ!(小学校編)読書習慣と成績の関係は?

  • 2019.6.18


東北大学 教授 川島隆太氏
神奈川新聞2019年6月18日朝刊掲載

脳科学者の川島隆太教授(東北大)が「子どもの脳の発達と読書」という講演を行った。
川島氏は「読書習慣がない子どもは、平均以下の成績しか取れない」という研究結果を発表した。
川島氏の講演内容の要点はこうだ。

小・中学生の読書時間と勉強時間が、算国理社の合計の成績とどのような関係があるのかを調査した。
その結果、毎日1時間以上読書をしている子どもたちは、1日30分の勉強をすれば平均点が取れていた。
一方で読書習慣のない子どもたちは、毎日2時間以上勉強しなければ平均点が取れていなかった。

つまり、読書習慣があると、少ない勉強時間でも十分に平均点が取れるのだが、読書をしていないと勉強をどんなに頑張っても平均点までしか届かないのだ。
ただひたすらに勉強するよりも、読書習慣を身につけておくことが結果的に学力に結びつくというわけだ。

この結果は仙台市教育委員会の協力を得て、毎年約7万人の小中学生の成績を収集し追跡調査をして分かったものだ。
川島氏は、読書や読み聞かせをする時の脳内変化をMRIで調べ、解析している。
読み聞かせを行う時の脳は、単に読書をしている時の脳の働きとは違った特徴が見られるそうだ。

親が読み聞かせをしている時、子どもの脳は言語発達に関わる場所以外にも感情や情動をコントロールする場所が良く働いていたという。
読み聞かせは子どもの言語発達だけでなく、情緒の発達にも重要な役割を果たすのだ。また、親の脳にも特徴的な動きが見られた。
コミュニケーションをコントロールする部位が良く働いていたのだ。
読み聞かせをする時間が長いほど、親の育児ストレスが低下するという研究結果も出ていて、読み聞かせは親子ともの心理面に良い効果があることが実証された。

川島氏は現在、スマートフォンが脳発達へ及ぼす悪影響や、高齢者の認知症の予防と読書や読み聞かせとの関係について研究を進めている。