神奈川新聞 連載コラム

102回 ザ・チャレンジ!(小学校編)日大藤沢小の特別授業とは?

  • 2022.12.2

神奈川新聞 2022年11月28日 朝刊掲載
日本大学生物資源科学部 周防 玲 先生

【紙面本文】

日大藤沢小の特別授業とは?
大学の先生による生き物の授業

日本大学藤沢小学校では、生物研究を専門とする日本大学生物資源科学部に隣接するメリットを生かし、大学教員を講師に招いた特別授業を定期的に行っている。
授業を担当する大学教員の専門分野は、海洋生物、昆虫、爬虫類、食虫植物、畜産など多岐に渡る。
児童たちにとって専門家から教えてもらう機会は、かけがえのない体験だろう。今回、この特別授業を取材した。

フグ毒などの海産毒の研究の専門家・周防 玲先生の「海のキケンな生き物」と題した小学2年生対象の授業だ。
授業前半は、クイズ形式で海の危険生物について学ぶ。サメ、フグ、クラゲ、ゴンズイといった人を襲ったり、毒を持っていたりする生き物が次々紹介され、児童たちは興味津々だ。中でもオニダルマオコゼはハブの数十倍の毒を持つという説明には、ひときわ驚きの声があがった。
授業後半は大学の研究室の学生たちも加わり、タッチプール体験(=写真)の時間だ。研究室から水槽が持ち込まれ、実際の生き物に触れる。毒のある生き物ということで、トラフグの子どもやイモリなどを触って観察した。大学生と児童との和気あいあいとした雰囲気の中、児童たちは観察記録をつける。
細かなスケッチから、彼らの好奇心や探求心が大いに刺激されたことが見て取れた。

授業担当の周防先生は、次のように抱負を語る。
「生き物を見るだけでなく、実際に触ることで何かを感じ取り、発見してもらえたらよいと思います。
そこから『自分がどういうものに興味があるのかな。あんな事やったなあ、あれ楽しかったなあ、楽しかったから、こういう分野を学んでみたいな』と思ってほしいですね。
生物資源科学部の学生たちは幼少期から親が海に連れていってくれたとか、生き物に触れる機会に恵まれていた子が多いように感じます。
しかし、昨今は自然に触れる機会が少なくなってきたからでしょうか、理系離れの傾向も見られます。
児童たちが将来、進路を考えるとき『生き物について学べる大学に行こう』と思ってくれたらうれしいですね」。