神奈川新聞 連載コラム

36回 ザ・チャレンジ!(幼児教育編)私立小入試は特別?

  • 2015.3.23

もうすぐ四月。神奈川県では七万六千名の新小一が入学式を迎える。そのうち一千八百名が私立小学校への入学だ。全体の約二・三%にあたる。人数割合で見れば、小学校入試は特別なものと言えるかもしれない。だが内容的にはどうか。特別な学力が必要とされているのだろうか。入試問題を見れば自ずとその答えが見えてくるだろう。
 図一は今年初めて小学校入試を行った小学校の問題。東京・神奈川・静岡の地図とそれぞれのシンボルが描かれている。地理の出題は珍しいが、質問は普通だ。「○○小はどこ?」(○○は出題の小学校)
 六歳児が神奈川県の形を認識できるかどうかは別としても、写真が江ノ島であることが理解できれば正解は見えてくる。
 図二は湘南エリアの名門小の問題。四つ折りした紙を図示された通りに切り、開いたらどうなるか。一瞬、戸惑うかもしれない。ただ、どの角を切り落とすかによって広げたときの模様が異なることは、折り紙遊びの一つとして幼稚園などで体験しているはずである。
 最後は県内屈指の難関小の実技課題の一つから。次の行動がきちんとできるかどうか。
①紙皿、クリップ、ハサミなどを使い、 魚を作る。
②作った魚で釣り遊びをする
園児の遊びとしては比較的ポピュラーなもの。道具も身近なものばかり。楽しんで取り組めるかがポイントだ。
 この三問はほんの一例であるが、入試問題の多くはこれらと同様、日常生活や遊びが出題のベースになっている。入試だからと言って突出した学力や能力が求められているわけではない。「子どもらしい子ども」が望まれている。その点で小学校入試は決して特別なものではない。むしろ、小学校入試に向けて行う様々なトレーニングが、子どもをたくましく育てることにつながるとも言えそうだ。