理究の哲学(エンジン)

第五章 保育・幼児教育の考察①

この章では、2012年~2014年まで神奈川新聞教育コラムに掲載した中から 「親の役割」に絞り、14本を抽出し、一部修正、加筆をしました。 コラムは文字数に制限があるために、文体は前章まで異なります。

1【時代の流れと親の役割】(2011.08.29 掲載)

2011年の7月4日、韓国政府が、小・中・高の既存教科書を電子書籍化する、と世界の報道陣に発表。
「電子化?デジタル化??ふ~ん、それが何なの?」
と思われる中高年の方も多いだろう。
「紙の教科書が電子書籍に?・・エコにいいね」
「重いカバンが軽くなる??」
誤解を恐れず、大胆に予想すれば、教科書デジタル化の真髄は、「教える―教えられる」教師と生徒の関係性を変質させることになる。
知識を持っていた権威者(教師)が、その知識を切り売りして供給して成立していた授業の質が変わる。なぜなら、デジタル化は即時に知識のネットワーク化を可能にするからだ。特に社会科や理科など知識重視の科目で顕著になる。たとえば、「世界遺産」に興味があれば、ネット環境が整っていれば、一瞬で映像を見ることができる。あの不思議で美しいボリビアのウユニ塩湖が、どのようにできたかも知る事ができる。地理と歴史との関係も教師に尋ねる必要はない。生物の生態もしかりだ。知りたいとき、観たい時、つまり好奇心が刺激されたら確認できる。凄い時代になった。
ICT(Information and Communication Technology)は、閉塞感のある集団学習形態の「学校」を、根本的に変革させる。楽しくかつ確実な学力を身につかせる可能性がある。
公表後の3年後、2014年から隣国では、国家レベルで実行し始めた。
さて、日本はどうだろう。2015年になり文部科学省が動き出した。
「学力低下」という深刻かつ重大な問題以外にも、「いじめ・不登校」「学級崩壊」「小学校英語」「親対応」など“頼み”の現場の先生方は青息吐息。かつ「35人学級」「教員の免許制度」など予算に絡む問題もあり、一筋縄では解決しそうにない。税金を年間十数兆円使って義務教育が行われている以上、その成果=学力向上は求められるのは当然だ。
毎年5月に東京ビックサイトにて「教育ソリューション」という大展示会や講演会がある。教育業界の動向を探るために、ここ数年注視し続けている。文科省の動きと大手企業(教育関連メーカー)の動きは連動している。2015年は、どのブースも怒涛のごとくタブレット一色だ。義務教育の中にタブレットが導入されるのは時間の問題だ。
教育問題は、イデオロギーが絡らんだり、各々の経験則が議論の出発点になりがち。よって、かみ合わない。ではどうしたらいいのか。
学力の課題はさておき、教育力の基本のキは、幼児期における家庭内の躾。親御さんは、自分たちの子を“一人前”の人間にしなければならない。これが親としてのゴール。集団教育の場としての幼稚園・保育園を活用しながら、先ずは“コミュニケーションできる子ども”“自分のことは自分でやる子”に育てること。スタートは挨拶と返事から。教育機関を批判する前に、我が子の“一人前度”を鍛えること。親の義務を果たして教育機関に送り込みましょう。
「可愛くば、2つ叱って3つ褒め、5つ教えて善き人にせよ」(二宮尊徳)
一生懸命やる、勇気を持つ、卑怯なことはしない、礼儀正しく、ルールを守る・・・
幼児期に親が教えることはある。頑張ったら褒めてやること。約束を守らなかったら叱ること。2・3・5のバランス感覚を持った親は子育てが上手い。

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