理究の哲学(エンジン)

第一章 幸福ノ学

第三項 難題は”感情”の変化

病気の人は、健康な人が幸福と思っている。
お金のない人は、お金をたくさん持っている人が幸福と思っている。
社会的地位が高ければ高いほど幸福の度合いも増えると思っている。
しかし、果たしてそうだろうか。
たくさんのお金や高い地位のおかげで、不幸になっている人もいる。
要は、かけがいのない自分の人生を、如何に一生懸命生きたかが問題で、それが幸福かどうかは二の次ではないか。

―『河合隼雄の幸福論』―


河合隼雄先生は、悩める人を意識してか、臨床心理学者らしく「幸福かどうかは二の次ではないか」と述べています。が、それでも人は幸せを求めます。
多くの人には到底理解できない残虐な行為―イスラム圏の若者がジハード(聖戦)と称して自爆テロを行うのも、おそらく彼らの世界での”幸せ”を求めているからなのです。
さて、「幸福とは何か?」をあらためて考えてみましょう。
あなたにとって、「幸福とはどんなものですか?」「どんなことですか?」「具体的にイメージすることはできますか?」

・いい学校に入ったら幸福になれる
・いい会社に入って、出世したら幸福になれる
・いい人とめぐりあい、結婚すれば幸福になれる
・感情を押し殺して、我慢すれば幸福になれる

と、こんな声も聞こえてきそうです。これらの声は、いつも幸せを先送りに考える傾向があります。多くの人がそうなのかもしれません。それぞれの感覚なので善悪の問題ではありません。
私自身は、「今、ここで、幸せを感じる」「今、ここで、満たされる」「今、ここで、笑顔になれる」そして、その幸せ感が、自分の家族や親戚、隣人、友人、知人、そして社員は勿論、社員の家族、さらに私たちの門を叩いてくださったお客様にも広がっていく、そんな考え方や方法があればいいなぁ、と本気で思っています。
さて、雲を掴むような「幸福論」ですが、これを考えるのに、キーになる1つが「情動・感情」の取り扱いです。

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