理究の哲学(エンジン)

第六章 保育・幼児教育の考察②③

第二項 五領域 編

2【五領域―人間関係】(2013.11.25 掲載)

今回は【人間関係】。この領域は、先生や友だちと良好なコミュニケーションがとれるかどうか、に集約される。当然、そのベースは親子関係で作られる。
映画「そして父になる」は、“出生時での子どもの取り違い”を通じて、対照的な2つの家庭が描かれている。“親子とは何”を考えさせられる話題作だ。二人の父、雄大(リリー・フランキー)と良多(福山雅治)の比較も面白い。
父と母と子の三角関係が事件発覚後、微妙に、時に激しく揺れ動く。そう、親子関係とは1対1ではない。4人家族ならば四角関係になる。三世帯など大家族であれば関係は複雑になる。関係とは“やりとり”だから学ぶ機会は増える。核家族であれば、関係性は単純であり、学ぶ機会は少ない。
【人間関係】の内容を能力開発に結びつける方法に触れよう。
オススメは、写真付き人間関係マップ(以下PRMP)づくり。
先ずは、親族。血縁関係。
ルーツを探るのもいい。言葉だけでなく、可視化すれば、関係が深化していく。ひとりひとりの写真を集めよう。家系図を作り上げていくと良い。お爺ちゃんは青森生まれで、農家を営んでいる。「だから毎年送られてくるりんごは旨い」
パパの弟のおじさんは、今は大阪で勤務。青森?大阪?地図も引っ張りだそう。数少ない従兄弟との交流も大事にしたい。血縁関係はありがたい。子供らを無条件で受け入れてくれる。相互に“お泊りごっこ”をするだけで、自分の家とは違うルールや習慣、味、匂い、を感じることができるだろう。“違い”がわかり、受け入れる。グローバル化に備え、そんな能力を幼い頃からつけさせたい。
次に、ご近所。血縁関係は、遠距離になると、盆暮れだけの付き合いになる可能性がある。地域は毎日の関係だ。子どもに挨拶させよう。地域に溶け込めさせよう。周囲から愛されるコツだ。
近所のおじさん、おばさんのPRMPをつくろう。さすれば、自然と名前も覚える。
地域社会の中で、友人関係が生まれる。集団の中には、俗に言う強い子、弱い子様々。気が合う、合わないもある。幼児の段階では親の保護がいる。友達の特徴が言えるようになれば、しめたもの。PRMPがあれば、パパも我が子の友達の名前を覚える。「○○くん、いっしょに遊ぼう!」とパパが声かけすれば、子も学ぶ。“声かけ”ができる能力は、底力となる。入口での親の助けは結構大きい。

五領域の中の「人間関係」領域

狙い(発達を捉える視点)
人間関係 生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう
身近な人と親しみ、関わりを含め、愛情や信頼感を持つ
社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける

※幼稚園幼児指導要録と保育所児童保育要録の狙いは同じ

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