理究の哲学(エンジン)

第六章 保育・幼児教育の考察②③

第一項 幼児の能力分析 編

9【身体運動能力を磨こう】(2013.07.08 掲載)

『この子は運動神経が鈍い』といって嘆く親を時々見かける。迷惑をかけて済まない、のエクスキューズだろう。が、しかし、我が子の前での酷評は御法度としたい。マイナス面を刷り込んで、これからの人生を狭める権利は親にはない。
運動のセンスは、幼児期に磨かれる、と経験上感じる。「水泳教室に通っている」「サッカークラブに入っている」だから、身体能力=運動能力が身につくと多くの親は思いがち。だが、実はそうではない。
近年、1つのスポーツだけでは養えない「多様な動き」や「自ら工夫する動き」などが運動能力を養うキーワードになっている。
運動身体能力は、特に3歳から4歳の発達速度が大きいことが文部科学省の調査でも報告されている。同省の運動指針では、
①立つ、座る、転がる、回るなど【体のバランスをとる動き】
②歩く、走る、登る、跳ぶなど【体を移動する動き】
③持つ、運ぶ、投げる、捕るなど【用具を操作する動き】
の3つに分けている。小学校入学前に、これら3つの動きを洗練化させよう、というものだ。
さて、幼児期では、「動く遊びを楽しませる」が、大原則。幼児と運動するときは、大人自身の心に余裕があるかどうかがポイント。余裕があれば、自然に笑顔もでる。「ダメだ」「下手だ」「根性ないぞ」などはNG。特に父親で中途半端に運動部に属していた方の中に、「度を越す指導」を時々耳目する。要注意。
幼子はできないのが当たり前。8歳ぐらいまでは、集中力が続かず、常に新しいものに興味が移る子が多い。楽しく遊ぶ雰囲気づくりに努めることだ。
年中、年長ぐらいから勝敗にこだわる子もでてくる。それはそれで良い。意欲的になるきっかけは個性に任せればよい。
おすすめは、家庭で取り組める自転車、一輪車のようなバランスをとりながら移動する運動や、ボールを投げたり、取ったり、蹴ったりして、敏捷性や動体視力を鍛える運動などだ。ボールも大・中・小と様々だ。家の中で遊ぶのなら新聞紙を丸めてつくるボールがいい。買って与えるより、工夫して道具をつくり、遊ぶほうが断然教育的だ。
「やりたい!」と意欲的になる瞬間や場面がある。
パパとじゃれ合うだけでも「身体運動能力」を高めるキッカケになる。
暑い夏が始まる。我が子と共に汗をかこう。汗―健康バロメーターである。

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