理究の哲学(エンジン)

第二章 自分ノ学

第一項 自己分析のススメ

たったひとりしかいない自分を
たった一度しかない人生を
ほんとうに生かせなかったら
人間は生まれてきたかいがないじゃないか

― 『路傍の石』山本有三 より ―


自分のコトを大切に思っていますか?
自分のコトを大事にしたいと考えていますか?
ほとんどの人はNOとは言いません。自分を好き、愛している、というのは正常です。自分を愛せない人は他人を愛することは難しいとも言われています。ただ、”自己愛”というと”ナルシスト”として、負のイメージを持つ人が多いようです。ネット世界では、自己愛=ナルシストと扱っている文章が目立ちます。マスメディアでも頻繁に使われていて、かなりメジャーな言葉になっているので、少々解説を入れます。
実は、この「ナルシスト」という言葉は、本来、医学・心理学の用語で「ナルシシスト」「ナルシシズム」と言います。専門用語は「Narcissistic Personality Disorder=自己愛性パーソナリティ障害」。特徴としては他者への共感や他者と打ち解けることに難があります。他者に対して敵対心を持つために社会生活に支障をきたす、といったものです。1つの障害なので専門家の治療が必要になります。単なる「自分が大好きで、自分の表現に酔いしれるタイプの人」とは違います。
さて、大事にしたい自分自身ですが、この”自分”が意外とやっかいな生き物。落ち込んだり、悩んだり、迷ったり、します。対人関係で自分自身のコントロールに戸惑うことさえあります。自分の殻を破りたい、もうワンステージ前進したい、今の自分を変えたい、そう感じている人は、そのキッカケのひとつになる、「自己分析」をすることを薦めます。

「自己分析」というと、臨床心理学や精神医学では、自己の無意識まで炙り出す大変な作業。専門的なトレーニングが必要とされたモノです。最近、巷で言われている「自己分析」は、就職活動する大学生にとっては、必須の準備ステップとして知られています。就職用語の1つです。「なんだ、就活で使うのか」と馬鹿にしてはいけません。人間は何歳になっても苦境に立たされたり、選択に迷ったりします。その時には、心は揺れ動き、不安定になります。

自分は何を目標に生きていくのか、
自分がどんなことに対して魅力を感じるのか、
自分が大事にしている信条は何なのか、それは譲れないものなのか、

「自己分析」することで、問題の本質が発見できることもあるのです。
自分史から始まり、自分の長所・短所も含め、自分を見つめ直すよい機会になるでしょう。第六項でも触れますが、「自己分析」は”人生設計・計画と自分史記録”にも繋がる作業です。

「この1年間で達成したいプライベートな目標?」
「今後3年間で達成したい仕事上の目標?」
「10年後、どのような生活をしていきたいのか?」
「今の自分でいいのだろうか?今後の自分の課題は?」

冒頭に紹介した山本有三の言葉は、30年間使い続けている私のノートの片隅にメモしたものです。いつか、どこかの場面で使いたいと考えていました。私は、このたった数行に何度も励まされました。
誰でも心が折れそうになる経験はあるでしょう。先ずは、自分を大切にするところから始めましょう。

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