理究の哲学(エンジン)

第五章 保育・幼児教育の考察①

12【受験の心構え】(2013.09.23 掲載)

ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんの講演を聞く機会があった。
田中さんの発明のキッカケが面白い。『実験に失敗して残ったモノを捨てずに混ぜて使った』当時マスコミからは、日本の“もったいない精神”による快挙と報道されたようだ。本人曰く『半分冗談だが、引っ込みがつかなくなった』
科学実験では、何十回でも何百回でもトライする。新しいことに挑戦する時は失敗の連続は当たり前、という。科学者は辛抱強いのだなぁ、と感じた。同時に、ひょっとして結構気楽な稼業かもしれないとも。
それに比べ、教育は大変だ。気苦労が絶えない。親心は本能的に我が子の“失敗”を極端に畏れる。誰でもそうだと思う。
でも、よく考えれば教育や子育てに“失敗”の表現は馴染まない。ちぐはぐ感があるとすれば、親のイメージや願望と我が子の成長・発達や個性とのズレが“失敗感”の主要因。長期的に見れば、どうってことない事が多い。
ただ、目の前の進学・受験などでの“躓きや挫折”には心が折れそうになる。
神奈川県下の私立小学校入試が、10月から始まる。
入試(入学考査)がある国立・私立小学校は「不合格」が付きまとう。倍率があれば、これは仕方がない。2020年オリンピック誘致でも、マドリードとインスタンブールは敗れた。絶対に勝利したい、合格したいと準備し念じても、枠がなければ叶わない。東京は運が良かった。
小学校受験は親にとって、1つの挑戦だ。よりよい教育環境を求めて家族一丸となる。かなり能動的かつ創造的な行為だ、と思う。
幾つかの課題に集中的に継続的に取り組むことは、その子の成長にとって、プラスになる。特に入学後の学力面で顕著だ。また家族の絆を深めるキッカケにもなる。
たとえば面接試験では、家庭の教育方針や、我が子の長所・短所、友達関係や習い事、遊び、学校選択の理由なども聞かれる。一発勝負なので、準備をする。普段忙しい親には試練だ。我が子のことを理解していないと話にならない。よって、父親と母親とが真剣に情報交換する。夫婦仲が問われる。子を通じて関係が深まる。
最後に、たとえ不合格だとしても“縁”がなかったと、切り替えをすることだ。“失敗”を乗り越える逞しさを親に求めたい。泰然自若な心構えで臨んで欲しい。幸運を。

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