理究の哲学(エンジン)

第六章 保育・幼児教育の考察②③

第一項 幼児の能力分析 編

4【社会性の能力 1】(2012.07.30 掲載)

「社会性の能力」について触れよう。
「社会性の能力」は、しばしば、コミュニケーション能力や対人関係能力などと同義語的に扱われる。今どきの“就活”では、コミュニケーション能力がキーワードになっているようだ。
SF小説作家の小松左京氏の作品に『復活の日』がある。「南極という厳しい環境の中で生きるには、知性と技能に加え、驚くべき粘り、耐久力、危機に対する闘争心、体力、適応性が求められる」のくだりがある。う~ん、確かにそうだろう。さらに続く表現が社会性能力の核を突いている。「おたがいに“うまくやっていく”能力”」が重要と記している。
う~ん、合点がいく。
家庭教育の少しの工夫で我が子の社会性能力を高めよう。
考え方として、コミュニケーション能力を単なることばのやりとり、と考えるのは狭すぎる。人間と人間のつながるのはことばだけではない。ことばを理解し、話せるようになる事は大事だ。それ以上に、相手の表情や仕草の中に感情をキャッチし、自分の感情を相手に伝えることは、“うまくやっていく”能力の芽を作る。
第1に、アイコンタクトを意識的にするとよい。我が子の乳幼児の頃を思い出そう。子どもの自立と共に、母親の視線が、擁護者から監視者のモードに変わる人が多い。愛情たっぷりのアイコンタクトを1回3秒。1日3回~5回程度意識してみることだ。
第2に、親が人と接する機会を見せること。その表現の仕方を我が子は学習していく。
たとえば、近所づきあいは「挨拶」からだ。会釈はできるが声が出ない人が多い。声がでる、でないは“月とすっぽん”だ。ご家庭で声を出す習慣を作るといい。声を出すと積極性が育まれる。初めはギコチなくても慣れる。表情も柔らかくなる。
第3に、親しい仲間(相互の家に子どもがお泊りできるような関係)づくり。他人の家を経験させることは「違い」を認識させる上で最高の機会になる。「○○ちゃんちのカレーに、キノコが入っていたよ」なんて経験ができる。
相互に“うまくやっていく”能力とは、人が持っている「自分中心」からの脱皮。人間的なつながりを持つためには自立していることが前提だ。小学生になったら合宿を経験させられるようなレベルにさせたい。

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