第六章 保育・幼児教育の考察②③
第二項 五領域 編
4【五領域―言語能力】(2012.12.03 掲載)
近い将来課題となる学力、その土台は言語能力だ。伝達の道具であり、思考の道具である。日本で生きるならば、先ず日本語をしっかり学ばせること。これは、家庭教育の責任である。
小学校1年生の段階で、勉強が出来る子と苦労する子では、語彙数が2倍から3倍程度違うという調査報告がある。ゼロ歳からの積み重ねであり、その差は幼児期にできたものだ。
人は誕生した瞬間から一人前の人間になるために言葉を習得する。といっても、発語は、およそ満一歳頃に始まるが、「見た目」の言語発達は遅々としている。理解できる言葉の数は、満二歳で300語程度だ。
「記憶領域」がしっかりできあがる2歳~3歳になると語彙数も格段と増える。この時期は「身体運動能力」も高まり自立性が強まる。自立性が高まれば、行動半径は広がる。遊び仲間とのやり取りも増える。発話する言葉がガンガン増える。ただ、個人差があるので親はあせらないことだ。耳が聞こえて、日常生活が普通ならば、自然に会話ができるようになる。
さて、語彙数を増やす工夫について触れよう。
ポイントは3つ。
1つ目は、両親の発話の習慣をチョッピリ見直すこと。たとえば、「早く」「キチンと」「ちゃんと」など単語だけの連発を避ける。主語・述語を入れた会話を心がけるだけで子どもは変わる。コツは、子どもの言葉を、復唱し、確認するだけでいい。親が子どもの言葉に耳を傾けることがスタート。
「○○ちゃんは今、●●したいんだね」と、ゆっくり声に出す。
2つ目は考え方。「以心伝心」で何でも分かり合えるという幻想をなくすこと。空気を読むことより、表現する、できることを大事にさせたい。
3つ目は、テレビづけにしない工夫をすること。先ずは、食事中にテレビを消す。無闇にテレビを付けないルールを決めることだ。ブロックや折り紙、おもちゃ、塗り絵など一人あそびできる道具や時間と空間を確保する。一方向から受動的な刺激だけでは語彙数は増えない。
キチンとした日本語を話すことが、我が子への“教育投資”に繋がると考えると気が楽になる。それに加え、あなた自身も素敵になれる。
すべての学習の基本は、「反復」と「継続」。幼児教育の「言語」領域の基礎は、ママとパパが作っている。
五領域の中の「言葉」領域
狙い(発達を捉える視点) | |
言葉 | 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう |
人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう | |
日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、保育士(先生)や友だちと心を通わせる |
※幼稚園幼児指導要録と保育所児童保育要録の狙いは同じ
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