理究の言魂(ことだま)

NO4-2 感情を科学する その2

上記で“素の情動と感情”に触れました。ここでは、感情を体系化したアメリカの心理学者ロバート・プルチック を取り上げ、“感情の本質と全体像”に触れます。下図は、「円環モデル=感情の輪」と呼ばれているものです。①~⑧の赤字になっている感情が、8つの基本感情(純粋感情)。それぞれの強度でグラデーションになっています。

① 大喜び―喜び―落ち着き ⇔ ② 悲痛―悲しみ―涼愁
② 憧れ―信頼―容認    ⇔ ④ 大嫌い―嫌気―退屈
⑤ 恐怖―不安―懸念    ⇔ ⑥ 激怒―怒り―苛立ち
⑦ 驚嘆―驚き―動揺    ⇔ ⑧ 警戒―予測―興味

● Plutchik「感情の輪」

この8つの基本感情の中で、ポジティブなのは「喜び」と「信頼」の2つ。ネガティブなのは、「悲しみ」「嫌気」「怒り」「怖れ」の4つ。中立的でどちらでもないのが「驚き」「予測」の2つです。それぞれの組み合わせで二次感情・三次感情が表現されます。この書では感情分析が目的ではないので、これ以上の説明は避けます。
ポイントは、ポジティブ感情の“数・量”の倍、ネガティブ感情が存在している点です。つまり、ネガティブ感情を表現する言葉の方が断然多いのです。

上記の事は、人間=生き物としての生存本能を考えれば、当然と言えば当然です。生き抜くために「危険察知能力」「生存戦略能力」を磨く必要があるからです。例えば、この森の中をまっすぐに進んでいいかどうか、獣の糞や足跡などの形跡を見つける嗅覚や類推力が研ぎ澄まされます。“何かおかしいぞ”“天敵がまだ近くにいるかも”という感覚から“怖れ・不安”という感情で判断力などを錬磨してきたのでしょう。

つまり、人間が生物としてサバイバルするために“ネガティブに反応する”のは仕方がない事、必然なのです。私たちの祖先は、このように「ホモ・サピエンス(賢い人)」に進化してきたのです。よって、あなたも自然体で生活していたならば、“ネガティブ”な表情や言動になる傾向になる、と考えた方が無難。多くの人が「暗・苦・病・反」言葉を使うのは、ある種仕方がないと考えると、ほら、寛大になれます(汗)

*「暗苦病反」言葉(例)

忙しい・疲れた・難しい・困難だ・できない・もう年だ・つまらない・まずい・やってられない

この「感情の輪=円環モデル」は、人間の感情を、数理的処理を駆使して体系化したものです。いわば、素=原型であると考えて良いでしょう。これを私は便宜上「感情の震源地である地下1階」と考えました。人間が言語を習得してきた歴史が凝集している“感情の塊”なのです。自然と闘い、飢饉を乗り越え、搾取や抑圧、貧困にも耐えてきた人間たちです。

では、次に「感情の地上1階」の話にいきましょう。

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