理究の言魂(ことだま)

衝撃3  「植物に学ぶ生存戦略・山田孝之」

NHK視聴ファンであることを自認しています。そして、家族にも押し付けています(笑)

「朝ドラ」や「大河ドラマ」は、30年以上前(1987年独眼竜「政宗」)から夢中になっているので、私のライフワークの1つと言ってもいいでしょう。NHKには上記以外にも「香川照之の昆虫すごいぜ!」「ためしてガッテン」「ブラタモリ」など興味深い番組があります。

さて、表題の番組を少しだけ紹介しましょう。

植物に学ぶ生存戦略 話す人・山田孝之

【キャベツの生存戦略】のコーナーでは、“2つの戦略”という視点で解説しています。1つは、「天敵への対応」です。
キャベツが、生き残るにあたり、もっとも恐れるのは天敵の存在。

天敵の1つに、モンシロチョウの幼虫―“アオムシ(青虫)”がいます。キャベツが“アオムシ(青虫)”にがりがり食べられるとSOS信号を出すというのです。
すると“アオムシサムライコマユバチ”が飛んできて、針でアオムシをブシッっと刺すのです。“アオムシ(青虫)”の中に卵を産み、卵の成長によってアオムシを殺すのです。
天敵は他にもいます。コナガの幼虫。コナガは、アオムシ(青虫)ほど有名ではない食害性害虫の一種です。見た目は同じような“アオムシ”状態の幼虫で人間が見分けることは難しいのです。
キャベツはコナガの幼虫に食べられると、アオムシ(青虫)の時とは異なるSOS信号を発して“コナガサムライコマユバチ”を呼ぶのです。そしてアオムシ(青虫)を殺した同じ方法で、自分自身を守るために、味方を呼ぶのです。天敵ごとにSOS信号を変える-生存のために“技”を進化させてきたと紹介しています。本当でしょうか?(笑)

もう1つの戦略が、「ニーズへの対応」。なぜキャベツは葉っぱを重ねるように丸くなったのかという疑問からです。
植物は光合成をして成長していきます。葉っぱを丸めることはその成長原理と反しているのにです。
この番組では、丸くなれば量が増え-「人間にたくさん食べてもらう」-つまり「人間のニーズ」に合わせるという戦略、と解説しています。

え?う~ん??と思わず疑問詞が出ませんか。
無理矢理の説明です(笑)番組内では論理的には答えていません。
が、私は引き込まれました。面白いのです。

山田孝之が語りかけるNHKの林田理沙アナウンサーも、山田の荒唐無稽な説明・解説に対して吹き出しもせず、「そうですか」「そうなんですね」と大根役者のように反応します。全くセクシー感がない彼女が、山田によって魅力的に感じてくるのは、失礼ながらミラクルです。(笑)

この番組の傑出さを考えてみました。

先ずは、テーマが「植物に学ぶ」「生存戦略」といった「うん?なに?」と興味を持たせている事。その植物も「キャベツ」「タンポポ」「ツユクサ」など親しみやすい題材から「ヘクソカズラ」「カラスウリ」といった野草まで幅広い題材を扱っている事です。

2番目に、そのテーマで取り扱っている内容が子供だましではなく、本物感がある事です。NHKの資金力、情報資源力を活用しています。

3番目に「本物感」はややもすると堅苦しい「学術解説」=「お勉強」になりがちですが、全く違います。馴染みのある芸能人話題(たとえば、ジュディ・オングや小倉優子=ゆうこりん、DJ KOOなど)をテーマと絡ませて比喩を駆使しています。

4番目は、1話10分。3話という短時間に集約させ、しかも展開が速いので飽きません。やはり、映像は“コンパクトさ”と“場面変化の速さ”がポイント。

5番目は、先ほど触れた山田と林田アナウンサーのやり取り・演出。
知的好奇心を刺激されながらもエンターテイメント風味が豊富な番組で、何度でも見ることがでます。その意味では「朝ドラ」より上かもしれません(失礼、朝ドラと比較すべきではありませんね)。

長々と解説しましたが、私たちが取り組んでいる「映像制作」の1つのヒントを与えてくれます。
目的(コンセプト)が「科学番組の衣を纏いながら、学術的に偏重せず視聴者を魅了しながら、生物に興味を持たせる」事なのです。理究の「指導理念」そのものです。NHK(Eテレ)では絶対に禁止である“ド下ネタ”もお構いなしなのです。

私たちは、NHKの真似はできませんし、すべきではありません。
ただし、制作するからには、せっかくお金と時間をかけても、お客様が見てくれなければ、何にもならないことは肝に銘じなければなりません。いい映像をたくさん見て、私たちの感性を磨きましょう。恐るべしNHKです。

「理究の言魂(ことだま)」は、研修テキスト第3冊目として、2020年3月に出版する予定で段取りを進めてきました。2月~3月上旬の校正段階でのパンデミック騒ぎ。その衝撃は、上記「衝撃 3連発」の100万倍ほどです(泣)
“感染”という恐怖感と同居しながら、テレワーク・在宅勤務・オンライン授業・Zoom会議・面談など“未経験への挑戦”をしてきました。まさに全社一丸―役員・幹部社員そしてスタッフの頑張りで徐々にこの窮地を脱していきました。

今回の件で、モチベーションを維持する事の難しさと、モチベーション喪失と回復は意外と簡単(ちょっとしたきっかけ)に起こることを経験しました。
ウィルスと共存共栄していくのが自然の“掟”。つまりウィルスはゼロにはならないのだから“必要以上に怯えるのはいかがなものか”という専門家の意見があります。
乱暴な言い方ですが、感染するときには感染するのだ(汗)と、開き直る覚悟も必要かもしれません。と、いうのは「感染する確率は自動車に乗って事故にあうより低い」とか「最低限度の予防で、感染する確率を下げられる」という専門家の報告もあるからです。

ワクチン接種という“光”が見え始めたものの、新型コロナの全容解明には時間を要します。治療方法が確立されてない以上、「人に迷惑が掛からないよう」常識的な行動を心がけるとしか言い様がありません。
日本という国が、政治家たちの“思い込み”や”経済呪縛“から解放され、未来に向かって”方向転換“をすることを願っています。「国力」というのは、「経済力」が土台となっています。
その経済力を増していかねば、医療・福祉や保育・教育、防衛や災害対策、生活やインフラ、科学技術や文化・芸術も育たなくなるのです。右翼だの左翼だのイデオロギーの問題ではありません。政党間で足を引っ張っている時ではありません。

変えなければ、変わらなくては生き残れないのです。
「生き残る」といっても個人の寿命はたかが知れていますし、それに抗うことは誰にもできません。しかし、仲間や後輩たちと創りあげてきた理究グループを、次の世代にバトンタッチしていきたいと考えています。その為にも、あなたに「理究の言魂」を読んでほしいのです。

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