理究の言魂(ことだま)

「GIGAスクール構想」にみる大変革期

2018年に経済協力開発機構(OECD)が実施した「学習到達度調査(PISA)」によると、日本は、学校の授業でデジタル機器を利用している頻度が、加盟国中で最低という結果が出ました(表Ⅰ)。さらに、教育用コンピュータ―1台当たりの児童生徒数も5.3人。
世界の先進国の中で、“日本の教育は遅れているのではないか”“教育投資をしていかなければ未来に禍根を残すのではないか”PISAの結果は世論を動かします。

表Ⅰ 1週間のうち、教室の授業でデジタル機器を利用する時間

※「OECD(経済協力開発機構)生徒の学習到達度調査2018(PISA2018)

これを受けて、2019年12月に文部科学省は、デジタル教育後進国の汚名を晴らさんと「GIGAスクール構想」を打ち出しました。具体的には、

① 児童・生徒向けの学習用パソコンを一人一台配備
② 高速・大容量のネットワークを整備
③ ハード、ソフト、指導体制の一体的な整備

偶然にも、2020年の新型コロナがこの動きを加速化させようとしています。というのは、コロナ感染拡大で臨時休校となった公立学校で、独自に作成した動画を活用できた自治体は10%。双方向のオンライン学習指導を行った自治体は5%。私立学校が、軒並みオンライン授業など駆使していた実態と比較すると公立学校のデジタルIQの低さが露呈しました。国家予算も担保されているので、今後、各自治体の巻き返しが期待されます。

「質の高い教育をみんなに」というキャッチフレーズは、持続可能な開発目標(SDGs)で掲げられた17の目標の1つ(表Ⅱ)です。これは「多様な子ども達を誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる学校ICT環境の実現」という高尚な文言で表現されています。この大変革は、官民一体となって協力体制を敷かなければ実現しないのではと危惧しています。

表Ⅱ SDGs17の目標

※「外務省 JAPAN SCGs Action Platform

私たちも、数年前から公立小学校とは、“学童保育”でかかわりを持ち始めました。現在、横浜市内の公立小学校(340校)のおよそ23%を受託運営しています。首都圏、関西圏の私立小学校とは、弊社が主催する“学校フェア”の関連などで20年以上のお付き合いをさせていただいています。
少々、自社の宣伝をすると、学習塾事業部では、ICT教育の研究開発と検証を10年以上前から取り組んできました。つまり、2019年からスタートした文部科学省の「GIGAスクール構想」の先取りをしていたわけです(笑)。勿論、私共だけではなく、全国の民間教育事業者はインターネット時代突入した時からICT盛隆を見込んで研鑽を重ねてきたことでしょう。私共は、運がいい事に2020年に、経済産業省のEd-Tech実証事業者として認可もされました。
国語力アッププログラムとしての「ことばの学校」(読むとくメソッド®)は、従来の学習塾用とは別に、学校版(「Ed-Tech」に合わせて)のデジタルブック化を開発しました。ワークもデジタル化してあるので、学習進捗履歴から誤答内容や学習時間など、生徒学習管理の教師負担を大幅に減少させるために、余計な手間を省くように工夫したシステムになっています。

文科省「GIGAスクール構想」によって整備される新しい教育基盤の上に、強力なお助けマンが登場しています(笑)。縦割り行政が批判されている中で、何と面白いことに、経済産業省がゴリゴリサポートしています。経産省は2019年6月に「未来の教室」ビジョンをとりまとめ、「学びのSTEAM 化」を掲げました。Society5.0 が始まろうとしている時代です。社会、経済、医療、福祉、教育など、すべてが今まで以上に繋がる時代になります。

-学びのSTEAM 化-
Science(サイエンス/科学)、Technology(テクノロジー/技術)、Engineering(エンジニアリング/工学)、Art(アート/芸術)、Mathematics(マセマティクス/数学)の5つの頭文字をとった造語。

-Society5.0-
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会を指すものとして提唱された。

経産省の官僚が「教育の問題は、文部科学省だけの課題ではない」と、言ったか言わなかったかは知りません(笑)ただ、海外の教育事情を鑑みれば、日本国の行政一丸となっての対策は望まれるところです。

ICT(情報コミュニケーション技術)の飛躍発展の例として、MOOCs(Massive Open Online Courses)、OCW(Open Course Ware)、Khan’s Academy(カーン・アカデミー)などが注目されています。
学びの大きな潮流として、「よりパーソナリティーに、より自由に、より多角的に、より創造的に、より総合的に、より実践的に・・・」という世界的な傾向があります。

文部科学省は、日本の教育を担う責務があります。今回の「GIGAスクール構想」が、小・中学の教育を大きく変えていくキッカケになるでしょう。日本の公教育は、良質で画一的な「学習指導要領」という“金科玉条”があって成立しています。“金太郎あめ”を信条としてきた文科省が、この変革を通して上記で示した「世界の潮流」とどのように歩調を合わせることができるのか・・・う~ん、これは見ものです(汗)

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