理究の言魂(ことだま)

エピローグ 「己の道を信じて生きよ」

信州の美味しい空気と新鮮な自然水を飲みながら育ちました。
蝗、蜂の子を食し、ご馳走である鹿肉、馬刺し、鯉こく、鰻の蒲焼、公魚のてんぷらを頂戴し、キノコ、薇、独活、蕨、セリ、タラの芽、・・自然食をたくさん頂きました。四方八方、山、山、山。
標高が高く、盆地であるために、田舎の風景は、四季折々が際立っていました。
都会人達が観光にくるほど美しい。でも、でも・・・山だらけ(泣)。

青年になり、初めて見る相模湾を臨む海は広く、太陽の光は活力を与えてくれました。
海を見ると開放的なムートになります。故郷にない刺激的な感覚です。海の幸、潮の香りがいっぺんに好きになりました。
一番強烈だったのは、女性たちの水着姿。全身がドキドキしたのを覚えています(汗)

♪♪ 海は素敵だなぁ~恋してるからさ~ ♪
(1968年ザ・リガニーズ「海は恋してる」)
を中学生の時に聞き、
♪♪ 海に抱かれて 男ならば たとえ破れても 燃える夢を持とう♪
(1976年加山雄三「海 その愛」)
を大学生時代に聞きました。

いいなぁ~、格好いいなぁ~、モテタイなぁ~、加山雄三みたいに(笑)
百円玉をかき集めて、中古のギターを買いました(モチベーションが続かず、すぐに挫折)

青年時代は、恋に恋します。海を制覇する、いつかクルーザーで潮風に触れてみたい。
でも、「4畳半・風呂なし・共同トイレ」住まいの苦学生には、その願望・欲動を“口に出すのも”憚られる状況。そうです、儚い夢、場違いなのです。
せっかく横浜に来たのに・・・。
何しろ、大学の友人たちは、私と同じで、ほとんど貧乏人です(泣)

あれから40年~(ここは、綾小路きみまろ風に)

ついに「山の男」から「海の男」になるチャンスがきました。
数年前に60歳になり、『まだまだ若いぜ!』と小型船舶講習を受け(講習生は皆20代から30代、当然私が最年長)筆記試験、実技試験を受けました。久しぶりに手に汗握る緊張感は半端なくヤバイ!うん、生きているぜ。ウフォー。

「発展途上人」・・・自分のことを、そう思いながら今後も生きるでしょう。
この世で学ぶべきことは多く、知らないことを知る喜び、できないことができるようになる楽しさは、何ともいえない感覚にさせてくれます。
スポーツも芸術も、勉学も研究も、「進化すること」が、1つの喜びです。勿論、停滞したり、退化している方が多い現実は横において。
途中で、心底楽しめなかったり、身体に無理が生じたりの時は、途中休憩。または、乗り換えをします。その辺はかなりアバウト(笑)

大学時代に発達心理学を学びました。
「人間の誕生から死までを俯瞰(ふかん)する」「人間の発達段階による課題解決の仕方」に醍醐味、不思議さ、面白さを感じていました。
前著「理究の哲学(エンジン)」でも触れた、E.Hエリクソンとジャン、ピアジェに影響を受けています。

人生経験を積んだ先輩の話を聞くことは刺激になります。自分の経験や体験だけでは限りがあるので、たくさんの本を読み、多くの言葉にめぐり逢いました。
その中でも、とりわけ感銘を受けたのが、幕末の儒学者、佐藤一斎が著した「言志晩録」の第六十条にある
「少にして学べば、壮にして為すことあり。壮にして学べば、老いて衰えず。老いて学べば、死して朽ちず。」
という言葉です。
人間は一生学ぶものであり、学び続ければ死後もその名は語り継がれるという、学ぶことの重要性を説いたものです。

多くの先人がいろいろな表現で「己の信じる道を生きよ」という言葉を残してきました。
何を信じるかは、人それぞれです。人生はすなわち、自分が信じる道を探す旅です。
苦しい時があるのは折り込み済み。初めから順風満帆はないと思えばよろしい。

若い時から右往左往しながら、いろいろ道に迷いながら、歩みました。それができたのも身体的な健康に恵まれたことも大きな要因かもしれません。両親には感謝しています。
自分の息子や、多くの後輩達にも、「自分の道は自分で探そう、自分の好きな事を求めよう。最初は好きじゃなくても究めれば好きになる事もある。ダメなら、方向転換すればいい。道草を食っても良いから、探し続けることが人生」と話をしています。たった一度の人生。あなたしかできない、あなたの旅路。どんな末路かは誰にも分らない。途中下車はせずに歩むことです。私は、そうしたい。

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