理究の言魂(ことだま)

NO5-4 「叱る」 VS 「ほめる」

かわいくば 2つ「叱って」 3つ誉め 5つ教えて よき人にせよ

子育て書には「ほめて育てましょう」が圧倒的に主流派。
よって、「叱る」という言葉に抵抗感を覚える人もいるかもしれませんね。勿論、「ほめる」ことは、だいたいにおいて善。ほめられて気分を害することは、普通はありません。子育てに関するネットでも「ほめて、ほめて、ほめまくれ」を連呼する教育評論家が目立ちます。政治の世界で「ほめ殺し」なんてものが一時流行りましたが(汗)
ですから真っ当な意見とも言えます。ただ、それが呪文のごとく横行しすぎる感があります。後で触れますが「ほめなければ・・」なんて、強迫観念のように思い詰めている指導者も見かけます。だから、ほめ方がぎこちない、ほめ方が下手、だから不自然(泣)

さて、ここからはあなたが指導者(親、保育士、施設長、主任、講師・・・)という視点で話を進めます。
教育には、大きく2種類の方法があります。1つは「しつけ」によって行動を変容・制約する教育。もう1つは、「積極性・自発性」を尊重し、育てることで行動の主体性を高める教育。あなたは、どちらが好みですか?
多くの人は、後者の「積極性・自発性」の教育のようです。ただ、現実の生活の中で、叱ることも少なからずあるでしょう。あなたの感性で叱る場面があるのなら、基本的には「それでいい」のです。あなたの倫理観や価値観を持って、あなたはこの世に堂々と生きているわけです。そして指導者(保護者、養護者)という立場になったわけです。“自信”につながる経験、スキル・知識・マインドを錬磨していきましょう。
あなたは、幼子の親、保護者であったり、生活や学習・受験指導の伴走者の役割を担っているかもしれません。教育基本法の第10条にあるように「心身の調和のとれた発達を図るよう努める」そのような指導は義務であり、必要です。その為に叱る、それは“あり”でしょう。叱ることに大人が臆病になることの弊害の方が重大だ、と思います。
ただ、問題なのはその基準や、叱り方、叱る場所、叱るタイミングなどをあなたが設定しているのかどうかです。NO4でも触れたように「人間は感情の動物」です。人間には感情の暴走があることも知っておくことです。あなたの行為を、第三者のあなたが、当事者のあなたを見つめる能力(これを心理学では「メタ認知能力」と呼びます)を身に付けて欲しいのです。あなたがもしも“怒りの感情”を持ったら、この「メタ認知能力」を使いましょう。そしてNO4で触れた“感情のメカニズム”を少し思い出しましょう。

もしも「叱る」なら、叱る基準を

さて、「許してはならない行為」があったら叱ることは当然です。
親になる、指導者になる肝は、「許してはならない行為」の基準を、夫婦で、パートナーやチームメイトで確認することです。独りよがりは避けたい。なぜならば、相互に共感できなければ、協力関係を結ぶことが困難になるからです。あなたが「積極性・自発性」を重んじる考え方なのに、「しつけ」と称して強引な手法をとるパートナーが横にいたならばと、想像してみましょう。あなたは耐えられるでしょうか。
教育の目的は「よきひとにせよ」でしたね。あなたの「よきひと」って何でしょうか。あなたのパートナーが思い描いている「よきひと」は何だと思います?コミュニケーションをとらなければ、分かり合えませんよね。相互に意見を表明し、主張できる関係を築きあげることです。
たとえば、常識的な感覚として、自分を傷つける(危険を招く行為)や他人を傷つける行為は、“ダメなことはダメ”と教え、叱ることでしょう。
それ以外に、あなたはどんな時に子供を叱るでしょうか。勿論子供の年齢によって、その場の状況によって異なるかもしれませんね。

私は、「NO3経営理念」でも触れた
命題A-人を人として扱う-
命題B―人の個性や人権を認めながら相互理解を深める-
に対しては大人が指導しなければならない基準の1つだと考えています。命題Bの“人の個性や人権”とは、当然ながら“自分自身の個性や人権”も含めてです。「認めながら」は、偏見や差別がある現実に対して、それが如何に理不尽なことなのかを“大脳(地上1階)”で理解しなければ、地下室の感情に振り回されるでしょう。あなたの基準からズレたり、抵触したりすれば、時には叱ったり、諭したりすることも出てくるでしょう。勿論、前提として「愛情を持って育てる」という感覚がないのは問題外です。

ただ、いいでしょうか、次のことが肝心です。
「ほめ」がなく、「叱る・怒鳴る」であるならば、あなたの子育て・指導は修正をしなければなりません。なぜならば、その対象たる子供が小さければ小さいほど、「叱る・怒鳴る」といったネガティブ行為は、小さな子を“委縮させ”“心を閉ざす”可能性が高いからです。二宮尊徳によれば、それが2と3の関係なのです。つまり、1.5倍。「ほめ」は愛情表現の1つと受け取られやすいので、大いに活用する事です。
人間の性癖として、文句を言う、叱る、怒る、といった感情を持ちやすいことは「NO4モットー」でも述べました。「感情の地下1階部分」が大暴れします。日本語でも英語でもネガティブな言葉の方が、ポジティブな言葉より多いとの研究報告があります。つまり、自然体で子育てしている多くの親は、“ぷんぷん、イライラ、怒ってばかり”(泣)

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